2009年9月1日火曜日

「忘れました」は有効。ただし新学期の初日に限る(シルバーレイン)

 夏休みは楽しかった。しかし、いつまでも続く訳ではない。
道鉦もまた夏休みを謳歌した一人だった。


「みなさん、始業式お疲れさまでした。では、宿題を集めます」
「先生!」
「どうしました、玖世君?」
「たいへん申し訳ありません!!」
「いきなり謝られてもですね・・・」
「宿題を忘れて来てしまいました」
「なるほど、それは困りましたね」
「ですから、明日必ず持って来ます」
「いえ、放課後でも構いませんよ。持って来て下さいね?」
「有り難うございました。明日持って参ります」
「玖世君、相変わらず人の話を聞かないねぇ」
「はい、有り難うございます」
「そういう人を食った所も相変わらずだねぇ」
「はい、明日持って参ります」
「まぁ良いけどね。忘れちゃ駄目だからね?」
「はい!!」
「返事だけは良いんですよねぇ」



危機は脱した。しかし、彼の誤算は確実に積み重なっていたのである。
「やってもやっても終わりが見えない。やれやれ」
中学一年生の問題など、玖世天にとって楽な代物だ。しかし、敵は確実にその戦力で彼を押しつぶそうとしていたのだ。
果たして、何人の猛者がこの宿題の圧倒的な物量に押し物されて行った事だろうか?
この事実を道鉦が知るのはもう少し先の出来事である。