2009年8月31日月曜日

里帰りにご挨拶の話(シルバーレイン)

「久しぶりだねぇ、クゼ」
 このドイツ人はいつも突然現れる。
「あぁ、久しぶりだな・・・えーと」
 しかし、名前は覚えていなかった。
「べつにー無理して呼んでいただかなくても結構ですがー。ちょっとー人としてーいかがなーものかとー」
「変な喋り方を止めろ」
「スミマセンねぇ。日本語慣れてないもので」
「で、何の用だ?」
「ちょっとクニへ帰る事になりまして。そのご挨拶ってやつだね」
「解雇か。不況の中かわいそうに。向こうでも頑張れよ。ではな」
「待って待って。単に本社での会議に出るだけだから。コネで入社してるから、ありえないから。俺のオヤジが社長だから」
「それなら、さっさと行って帰ってくれば問題ないだろう。いまは急ぎで用意してもらう物もないしな」
「ショウバイニンとしては優良顧客の繋ぎ止めを一応しておかないとねー。弟にもキツく言われているし」
「あれか。確かにお前と違って優秀だな」
「そうそう、優秀なんだよー。唯一の欠点は俺みたいに出来すぎた兄がいることかなぁ」
「・・・あぁ、そうだな。お前の弟も苦労してるみたいだな」
「ま、冗談はこれくらいにしておいて。では、行ってきます」
「ではな」



「お土産期待しといてね」
「さっさと行けよ」