「かぁ〜〜っ! このケーキは甘いですね、本当に甘いですよ」
「うるさい」
「連絡がつかないと思ったら、可愛い弟の誕生日に何をしてるかと思ったら……リア充、いやリア獣か! さすが、肉食系兄上。学名リアジュー・リア・リアジュウーですね」
「静かに食えよ」
「で、飲み物あります?」
「……珈琲しかないぞ」
「仕方ないですねぇ。ぼくが特別に腕を振るうとしましょうか」
「お前、ほんと他人の話を聞かないのな」
「良いお茶っ葉使ってますねぇ。てか、珈琲以外の方が多いじゃないですか」
「堂々と開けるな。あいつのだから、勝手に……」
「よーし、この高そうなお茶に決めた!」
「だから……」
「コンロ使いますよ〜?」
「あのなぁ」
「焦ったらダメです。お茶の葉を炒るには、手際とタイミングが大事なんですから」
「……意外と手馴れてるな」
「えぇ、そりゃあ。父上に散々仕込まれましたから」
「そうか」
「そうです」
「どうですか?」
「……しゃくだが、旨い」
「あはは。当然ですよ、とーぜん。もっと褒めても良いんですよ?」
「お代わり」
「はいはい。あー、そうだ。お正月に父上と会ったんですよ」
「そうか」
「兄上と話がしたいって」
「断る」
「ダメです」
「うるさい」
「ダメです」
「……」
「ついでに、父上から。『墓の掃除は欠かしていない』だそうですよ」
「絶対行かないからな」
「逃げるんですか?」
「逃げてない」
「父上に会って、殴るなり罵るなりすれば良いのに」
「俺には関係ない」
「あのですねぇ」
「今日は帰れ」
「「……」」
「まぁ、今日の所は引き上げますけど」
「そうしてくれ」
「兄上」
「なんだ」
「お茶、本当に美味しかったでしょ?」
「あぁ。旨いほうじ茶だった」
「そういう呼び方もありますけどね。普通の焙じ茶とは違うんですよ」
「何か特別なやり方があるのか?」
「ひと呼んで、ミ チ カ ネ ス ペ シ ャ ルですよ!!(ジャジャーン)」
「「……」」
「あーうん、美味しかった。じゃあな」
「え、ちょ……(・3・)アルェー」