「久しぶりだねぇ、クゼ」
このドイツ人はいつも突然現れる。
「あぁ、久しぶりだな・・・えーと」
しかし、名前は覚えていなかった。
「べつにー無理して呼んでいただかなくても結構ですがー。ちょっとー人としてーいかがなーものかとー」
「変な喋り方を止めろ」
「スミマセンねぇ。日本語慣れてないもので」
「で、何の用だ?」
「ちょっとクニへ帰る事になりまして。そのご挨拶ってやつだね」
「解雇か。不況の中かわいそうに。向こうでも頑張れよ。ではな」
「待って待って。単に本社での会議に出るだけだから。コネで入社してるから、ありえないから。俺のオヤジが社長だから」
「それなら、さっさと行って帰ってくれば問題ないだろう。いまは急ぎで用意してもらう物もないしな」
「ショウバイニンとしては優良顧客の繋ぎ止めを一応しておかないとねー。弟にもキツく言われているし」
「あれか。確かにお前と違って優秀だな」
「そうそう、優秀なんだよー。唯一の欠点は俺みたいに出来すぎた兄がいることかなぁ」
「・・・あぁ、そうだな。お前の弟も苦労してるみたいだな」
「ま、冗談はこれくらいにしておいて。では、行ってきます」
「ではな」
「お土産期待しといてね」
「さっさと行けよ」
2009年8月31日月曜日
2009年8月25日火曜日
アマゾンよ、「Snow Leopard」の貯蔵は充分か?
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アマゾンさんですし、大丈夫なんでしょうけどね。在庫切れを経験したことは幸いにして、私は無いですし。
Macの新OS、雪豹さんの予約が開始されました。
お値段も手頃な感じで、3300円也。楽しみです。
私? Appleストアでの予約は余裕で済ませています。
WWDC(Appleが色々語たるイベント。ジャパネットの凄く恰好良いバージョン)で値段が発表されたのも見てましたし。遅くまで起きてましたとも。
昨日の夜の段階で、Appleストアのサイトが改装中になったのは嬉しかったですねー。
ニワカMacユーザーなので、お世辞にも機能を理解しきっているとは言えませんので・・・まぁ、取説やらネット参照しながらいじくり倒してみようと思います。
新しい物を楽しく待てるのって、我ながら安上がりな贅沢だと思います。
2009年8月24日月曜日
北方三国志を読んでます
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何度も繰り返し読んだシリーズです。
もう凄くハードボイルド。
知り合いに勧めてみたのですが、やれ「登場人物が多すぎる」だの「男臭すぎる」だの言われました。
それでも、私はこの三国志が大好きです。
確かに、登場人物は多い!
魏・呉・蜀と三つ国が登場する上に、その三国体制が成立する前にも大量の英雄が出ては消えて行きます。
ほんと、多いです。ただ、基本になるのはやっぱり曹操と劉備の二人。
その周囲の人物と役割を抑えておけば読めるはず。
男臭いのは・・・まぁ、しょうがない。作者からして男の世界の住人だし。
ヘミングウェイを翻訳サイトに入れたら作者の北方氏と出てくるらしいし。
「誇りとは?」「敗れざること」
まず、呂布と赤兎馬に燃えます。
言ってしまえば人と馬なんですけど、恰好良い。
これを読むまでは呂布って単なる悪役ってイメージでした。滅法強いけど、それだけ。
ところが、この呂布に「マザコン」という解釈を当てはめる事でかなーり魅力溢れる男が出来上がるんですよ。
騙されたと思って読んでみて。多分、三国志を知っている人ほど北方さんの呂布には魅力を感じるはず。
ほんと、赤兎馬の誇り高さはどこから来たんでしょうかねぇ。
「どこかで屈折した」
次は孔明。
罠を仕掛けたり「はわわ、敵が来ちゃいました」で有名な人です。
天才軍師も北方さんの人物造形で、登場当初は悩む人間になってます。
学識では誰に劣るワケでもない。
生まれてくるのが遅かった。自分はこのまま朽ち果てて行くだけなのか?
隠棲している土地で農業をしているんですが、この際の鬱屈具合がたまりません。
三顧の礼を通して、自分の力を発揮することを決意するシーンは個人的に大好きです。
三回目に訪れる劉備も好きです。
ここまで誰かに必要とされたいものです。
「殿、と呼べ。おまえだけは、そう呼べ。そして、私だけが、おまえを虎痴と呼ぶ」
「はい」
もうね、これですよ。これ。
男臭いの良いじゃないか!
許褚が凄く良いんすよ。言葉少な。でも、危地に際しては冷静に主君を守る。
役職とかどーでも良いんです。男であるならば、自分が自分であるだけで認められないとね!!
許褚は許褚なんですよ。
他人は全て敵か臣下と割り切る曹操が、この対応ですよ。何というツンデレ。
蒼天航路の許褚も好きですね。天真爛漫だけど真っ直ぐな目で大事なことは見抜いている所とか。
北方さんの許褚は男。いや、漢。
メインと言いながら、劉備にはほとんど触れていません。
まぁ、曹操もそうなんですが・・・。
劉備については北方さんも特に凝ってますので、ぜひ読んで確かめてみて下さい。
張飛が良い役回りしてます。ますます好きになりましたね。
単なる無邪気な暴れん坊ではありませんよ。
2009年8月23日日曜日
「写真」
道鉦は片付けの手を止めた。何となく自分の部屋を整理してみたが、意外と広かった事に気づく。
荷物のほとんど(部屋を圧迫していた原因)は漫画やらラノベなので、時間は掛からなかった。
「これまた懐かしい物が・・・どこかに行っちゃったと思ってたのに」
鎌倉に出たばかりの頃に撮った写真である。背景にはもう見慣れた大仏。
写った兄の表情は今よりも堅い。自分も同じだった。互いの距離も測りがたく、妙な間が見て取れる。
最初に出来た放っておけない友人も写っている。敬愛する義姉(もっとも、当時はそう呼べていなかったが)は変わらず凛々しい。現在の大家も笑顔を浮かべている。他にも数人。
多くの友人を得た物だ、と年齢不相応な感想を抱き思わず苦笑した。
「ま、人には恵まれてますよねぇ」
大事な写真をどうするか、と思案に耽ったがすぐに思いつく。
簡単だ。飾れば良い。
兄は嫌がるだろうが、それもまた面白いだろう。
夏休みも残す所あとわずかだ。
兄とまた泳ぎに行っても良いし、愛の巣にお邪魔しても良い。友人達と買い物に行くのも良いだろう。
まぁ、二学期が始まればどうせ皆には会えるのだろうが。
ここで道鉦は気づく。
出来れば気づきたくなかったが、目を逸らしていい問題でもない。
深呼吸を三つ。
兄に電話を掛けた。義姉上もいらっしゃれば良いのだが。
繋がる。
「兄上、良いですか。落ち着いて聞いて下さい。そして、ぼくを助けて下さい」
「どうした?」
「いえ、実は・・・」
「早く言えよ」
玖世道鉦は一切の宿題を行っていなかった。九月まで一週間を残すだけ。
まだ、暑いが既に暦の上では秋である。
荷物のほとんど(部屋を圧迫していた原因)は漫画やらラノベなので、時間は掛からなかった。
「これまた懐かしい物が・・・どこかに行っちゃったと思ってたのに」
鎌倉に出たばかりの頃に撮った写真である。背景にはもう見慣れた大仏。
写った兄の表情は今よりも堅い。自分も同じだった。互いの距離も測りがたく、妙な間が見て取れる。
最初に出来た放っておけない友人も写っている。敬愛する義姉(もっとも、当時はそう呼べていなかったが)は変わらず凛々しい。現在の大家も笑顔を浮かべている。他にも数人。
多くの友人を得た物だ、と年齢不相応な感想を抱き思わず苦笑した。
「ま、人には恵まれてますよねぇ」
大事な写真をどうするか、と思案に耽ったがすぐに思いつく。
簡単だ。飾れば良い。
兄は嫌がるだろうが、それもまた面白いだろう。
夏休みも残す所あとわずかだ。
兄とまた泳ぎに行っても良いし、愛の巣にお邪魔しても良い。友人達と買い物に行くのも良いだろう。
まぁ、二学期が始まればどうせ皆には会えるのだろうが。
ここで道鉦は気づく。
出来れば気づきたくなかったが、目を逸らしていい問題でもない。
深呼吸を三つ。
兄に電話を掛けた。義姉上もいらっしゃれば良いのだが。
繋がる。
「兄上、良いですか。落ち着いて聞いて下さい。そして、ぼくを助けて下さい」
「どうした?」
「いえ、実は・・・」
「早く言えよ」
玖世道鉦は一切の宿題を行っていなかった。九月まで一週間を残すだけ。
まだ、暑いが既に暦の上では秋である。
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