2009年10月30日金曜日

知らない事を覚えていないと詰られる理不尽(シルバーレイン)

「兄上、今日お忘れのことが無いですか?」
「ないぞ、別に」
「嘆かわしい。こうやって人は老いていくんですかねぇ」
「あぁ、そういえば」
「思い出していただけましたか!」
「先週貸した2000円はどうなった?」
「それは忘れて」
「別に急いで返さなくてもいいんだけどな」
「話を逸らさないでください。もっと別の、もっと大切な事ですよ!!」
「ん~、あぁ! お前が割った皿のことか!! 金で継ぐから、別に構わないそうだぞ」
「あ、良かった。高価な物ではなかったんですね」
「いや、結構良い物らしい」
「ち、ちなみにお幾らほどで」
「さんまん……」
「立派そうなお皿にしては、そこそこですね」
「3万ドル」
「……さささ、さっきから、何ですか!! お金の事ばっかり言って。恥を知ってください、恥を」
「お前に言われたくない。意図が読めん。さっさと用件を言え」
「実はですね、ぼくが兄上と再会してから今日でちょうど2年になるんですよ!!」
「あー、そうなのか? 何だ、ほら。めでたいな」
「ですよねー! ほら、可愛い弟に何か言うべき事とか渡すべきものとかあるんじゃないですか? 具体的に言うと現金や権利書。有価証券の類いとか。贈与税が掛からない様に110万円以内で」
「ないぞ、そんなの」
「本当に?」
「本当に」
「ほんとのほんと〜〜に?」
「本当に」
「実はあったりして?」
「ない」
「………………バカ」
「ん、何か言ったか?」
「別に、何も、全く、さっぱり、言って、まーせーんーよっ!」