2009年10月7日水曜日

運動会前の色々(シルバーレイン)

『弁当は何が良んだ?』
「あ、作ってくださるんですか!でしたら、バーベキューが良いかと」
『そうだな。運動するんだし、濃いめの味付けにしておくか』
「聞く気ないですよね」
『お前も真面目に答える気がないだろ。まぁ、過剰な期待はやめておけ』
「楽しみにしていますよ。ばっちり頑張りますから!」
『怪我はしないようにな』
「はーい」
『そうそう。最近夜更かしが酷いそうだな?明日も学校だし、早めに休めよ』
「分かってますよ。ロンパイアを拾ったら寝ます」
『うん、さっさと寝ろ』
「分かってますって!」
『返事だけは良いんだよなぁ』

特段の落ちもないまま、電話を切りました。
このまま何事もなければ、運動会を楽しみに出来ていたのでしょうが・・・。

(Prrrr・・・Prrrr・・・)

「はーい、もしもしですよ」

『本当にこの番号で良いのか?』
『ーーはい、閣下。肯定であります』
『おい、それを処理しておけ。任せたぞ』
『ーーはい、閣下。しかし、これは・・・』
『Non aprire la bocca!(訳:黙れ!) 私は任せた、と言ったぞ』
『Sissignora.(訳:かしこまりました)』

何やら電話の向こうは揉めている様子。でも、この声って・・・まさか!
『道鉦、聞こえている?』
「聞こえてますよ。母上からお電話なんて珍しいですね?」
『寂しい事を言うじゃない。私としても、可愛い息子と離れているのは嫌なんだけれど?』
「冗談ですよ。お元気そうで何よりです」
『私も貴方が元気そうで安心したわ。最近どう?』
「無問題ですよー。 学校も楽しいですし」
『まったく、勝手に転校しちゃうんだから。あの時は驚いたわ』
「それを言われると、辛いんですが」
『冗談。さっきのお返しよ。お父さんから聞いたのだけど、運動会があるそうね?』
「そうそう、練習が長くて大変ですよ!」
『シチリアの男が弱音を吐くんじゃないの。私もお父さんも応援に行くから、頑張りなさい』
「本当ですか!!三人揃うのも久しぶりじゃないですか」
『あら、皮肉かしら?』
「いえ、そんな積もりは」
『私もオベントーを持って行くから・・・・・・ごめんなさい、ちょっと待ってて』
「はい?」


『ーーはい、閣下。申し訳ございません』
『私の下した命令に変更はないぞ。可及的速やかに処理をしろ。手段は問わん。良いか、大尉。手段は問わない』
『ーーはっ』
『ヒューマンエラーがここまで重なるとは。由々しき事態だな』


「あのー、母上?」
『あぁ、ごめんなさい。ちょっと困った事になっちゃってね』
「大変そうですね。ぼくもお手伝い出来れば良いんですが・・・」
『手伝い?ふふっ、子供は遊んで勉強していれば良いのよ。あと、貴方は稽古もちゃんとね?』
「は、はーい」
『良い子。じゃあ、慌ただしくなっちゃったけど・・・またね』
「母上もお体にはお気をつけて」
『えぇ、貴方も』


「母上も大変そうですねぇ。でも、母上のお弁当たのし・・・・・・あああああああああっ!!」
まずい、まずい、まずい。母上が来るって事は父上も来るということ。
そして、兄上もわざわざぼくの為にお弁当を作ってきてくれる。
つまり、ぼくの目の前で(超絶的に仲の悪い)父上と兄上が顔を合わせるということで。
そんな二人を前にぼくが出来る事と言ったら・・・・・・。






「・・・・・・あー、お腹痛い。痛い痛い痛い、これは入院が必要な程の痛さですね。もしくは、全ての事態を兄上の同居人さんに押しつけざるを得ない痛さですね。うん、そうだ。そう決めた」